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入学おめでとう

ボンゴレ学園に新入生が来ました!

CP・ムクツナ・正一受け

ディーノがサディスト
骸が暴力的

コメディです

大丈夫な方は続きからどうぞv



ボンゴレ学園。

その制服を纏う生徒は羨望の眼差しで見詰められる名門校。

有名大学への進学率はほとんど100パーセント。
就職時もボンゴレ学園を卒業しているというだけで一目置かれる。

ただし卒業出来れば、の話し。

ボンゴレ学園は独自の教育方針を貫いており、
時には校舎が爆発したり、時には弾丸やナイフが飛んできたり、スパルタ教育でも有名なのである。

卒業する生徒より脱落する生徒の方が多い。

そんな学園にも、今年も新入生がやって来た。


骸は腕時計に視線を落とした。

時間配分が分からずに、随分と早く学校に着いてしまった。
まだ校舎は静かなものだ。

骸はボンゴレ学園の新入生だった。

時間を潰すにもこの辺りの地理は分からないので、仕方がないから教室で待つことにした。
クラス分けの票を見るために、桜並木の中を掲示板まで歩いて行く。

大きな掲示板のクラス票はすぐに目に止まったのだが、
大きな紙がめくれてその下で何か動いている。

うーんとか伸びあがるような声が聞こえて紙がもぞもぞしてるが、紙は一向に持ち上がらない。

「・・・。」

きっと誰かが票を張ろうとして背が足りずにもがいているのだろう。

脚立か何か持ってくればいいのに、紙の下の人間はぴょんぴょん飛び上がっては紙をばさばさ言わせているだけだった。

何て馬鹿なのだろう。

骸は手を貸す義理がないのでしばらく見ていたが、残念なことにその紙が持ち上がらない限りクラスを知ることが出来ない。

苛立たしさから紙の端を持って掲示板に貼り付けると、
白い紙の下からふわふわとした頭が覗いた。

ぷはっと息を吐き出して、驚いたように瞬きをしながら骸を見上げてきたその人との間に風が吹き抜けて
骸は目を見張った。

柔らかな春の風に乗って桜が舞った。

ふわふわとした色合いの人は春の日だまりのような瞳をふんわりと細めて、骸に笑い掛けた。

「ありがとう!」

どきりと胸が鳴った気がした。

「君、新入生だね。これから3年間、よろしぐは・・・っ」

骸はその人を殴った。

華奢な体は掲示板にバウンドするようにぶつかって、ぽとりと地面に落ちた。

さわさわと桜が舞う。

骸は拳を見詰め動揺した。

何で殴ったか分からない。

向けられた笑顔に居た堪れなくなって手が出た。
まあ思い起こせば短気な性質だが、決して腹が立った訳ではない。

「・・・。」
さわさわと桜が舞う。

拳を見詰める骸の足元で笑顔の柔らかい人が伸びていた。


人が増え始めた教室はこれから始まる新しい学園生活にざわめいて、
いなかった。

これから入学式が始まる。
何が起こるか分からない。

しんと凍りつくような空気は春に相応しくなく、生徒たちの緊張は頂点に達しているようだった。

その中で席に着いた骸は頬を桜の色に染めて、さっき出会ったあのひとのことばかりを考えていた。

思い出すと胸が苦しくなるような、くすぐったくなるような、そんな初めての感触。

「ねーねー骸クン、骸クン、」

物思いをぶち壊すような暢気な声が後ろの席からかかって、
骸は眉根を寄せると何ですかと忌々しげに振り向いた。

骸の不機嫌さを少しも気にしない様子でにこっと笑ったのは、同級生の白蘭だった。

「僕たちまた一緒だねー。スパナクンもまた一緒のクラスって気付いてる?」

「いくら何でも斜め後ろにいたら気付きますよ。」

「六道はいつもぷんぷんしてるな。」

「ぷんぷんって可愛くて骸クンには気持ち悪いんだけど。」

「煩いですよ。」

「カルシウム足りてないんじゃないか?」

鞄をごそごそしたスパナが差し出したものに、骸はう、と眉を潜めた。

「何ですかこれ!?」

「煮干し飴。カルシウム満点。」

白い棒に差されたどんよりとにごった色の飴は、よく見ると中に煮干しの頭や尻尾が浮かんでいる。
売り物のように綺麗にビニールに包まれているが、生臭い。

「煮干し飴!?不味そう・・・っ!」

「煮干しと飴の味がするだけだ。」

「だから不味そうって言ってるんですよ・・・っ!!」

「不味そうだね!ちょうだい。」

「どんな感覚ですかそれ・・・っ」

煮干しの生臭さを教室中に漂わせながらスパナと白蘭はむぐむぐと口を動かして
不味いねーなんて言い合っている。

感覚が分からない。

それでもスパナと白蘭とは幼稚園の頃から腐れ縁で、どういう訳かずっと同じクラスだった。
このまま行くと、もしかしたらもしかするかもしれないと言う予感は胸の奥で消し墨にした。

「このまま行ったら大学も同じっぽいよねー」

「就職先も一緒かもな。」

消し墨にしたのに。

「六道、とりあえず机を下ろしたらどうだ?力自慢か?」

「そうだよー入学式が始まるからってテンション上がり過ぎでしょ。
頭の上まで机持ち上げるって、エクササイズ的な何か?」

飽くまで素で言う二人に骸は何だかなぁと思う。

「いえ、いっそ君たちを消し墨にしようかと思ったのですが、何か萎えました。」

「下ネタだ。」

「下だ下。」

「やはり消し墨にしましょう。」

下ネタだと思うから下ネタなんだと思った骸は、一度は消えた気持ちを持ち上げて机も持ち上げた。

ひゅんと空気を切るような音と共に骸の頭上の机の足に巻き付いたのは、革の黒い鞭だった。

あ、と思う間もなく机は宙を舞い床に叩き付けられ、
その勢いで砕けた机の破片が生徒たちの顔や体にめり込んで、ぱたぱたと床に落ちていった。

前を見ると黒板の前にいつの間にかスーツに身を包んだ金髪の長身の男が立っていて、
その男は端正な顔に薔薇が薫るような笑みを乗せた。

遠くで爆発音のような音が聞こえて校舎が振動した気がしたが
男は笑みを崩さずに教壇までの道のりを、倒れた生徒を踏みながら歩いた。

途中ふと後ろを振り返ってあれ?とひとりごちると、また生徒を踏みつけながら教室を出て行ってしまった。

何だったんだ今のはと思うが、とりあえず武器(机)が無くなったので、骸は椅子に腰を下ろした。

凍り付く教室の中には煮干しの匂いがした。

白蘭は何を気にする様子もなく、含んでいた飴をちゅっと吸ってから口から外した。

「そう言えばさーさっきすげぇ可愛い子見付けちゃった。」

「あ、ウチも見た。」

骸は組んだ腕の上に乗った指をぴくりと動かした。

「一緒の子かな。髪がふわふわでさ、」

「そうそう。」

骸はぴくりと睫毛を動かした。
白い紙の下から覗いたふわふわの淡い色の髪を思い出す。

「優しそうで、」

「うんうん。」

骸は眉根を寄せた。
柔らかい笑みは人が良さそうだった。

「ちょっと気が弱そうな、」

「そうそう。」

あの華奢な体はお世辞にも気が強そうには見えない。

骸はがっと目を見開いて、勢いよく立ち上がった。
椅子で殴るために。

手なんか出させて堪るか。

「眼鏡掛けてたよね。」

「うん、緑っぽいやつ。」

眼鏡は掛けてなかった。

「・・・。」

骸は静かに腰を下ろした。

「・・・。」

「・・・。」

「・・・。」

「挙動不審だな。」

「いつもだよね。」

「君たちにだけは言われたくありません。」

「あ!もしかして骸クンもいい子見付けたとか?」

勘のいい白蘭の言葉にぎくりとしたとき、
教室の入り口からまたさっきの金髪の男が涼やかな笑顔で入って来て、
同じように生徒たちを踏みながら教壇まで歩いて行った。

教壇に手を付き、薔薇の笑顔を浮かべる。

「お前らの担任のディーノだ。よろしくな!」

その笑顔だけ見ていると人畜無害に見えるのだが(害があるとすればうっかりと見とれて気が散るとか、そう言った類のもの)
倒れている生徒を土足で踏みつけて笑顔でいる辺り、ボンゴレ学園の教師に間違いない。

「あれ?またいねぇや。おい、ツナ!いい加減にしねぇと靴の裏舐めさせるぞ!」

廊下に向かって聞き違いであって欲しいようなことを言うと、
廊下からぱらぱたと走る足音に加えてすみません!と何度も謝る声がした。

「す、すみません・・・!爆発に巻き込まれちゃって・・・」

物騒なことを言いながら灰で黒くなった頬を擦りながら掛け込んで来た小柄な男性に、骸は目を見張った。

ぱたぱたと音が鳴りそうな足取りで、床に転がっている生徒たちにうわあと細い声を上げて助け起こそうとするが
しゅっと伸びた黒い鞭に首吊りのような格好で無理に立ち上がらされてぐふっと可哀想な声を漏らした男性は
涙目で居住まいを正すと小さくお辞儀をした。

「副担任の沢田綱吉です。よろしくお願いします。」

骸は見張った目を揺らして、ただただ沢田綱吉と名乗った華奢な男性を見詰めている。

綱吉は瞬きを一度して、視線に気付いたようにゆったりと骸の方を見た。

動きを止めた骸と目が合うと、ふんわりと笑った。

「君はさっきのぐふぉ・・・っ」

綱吉は勢いよく飛んで来た椅子に体を弾かれて黒板に体を威勢よくぶつけると
そのまま床にぽとりと落ちた。

飛んで来た先には少し肩で息をするような骸が仁王立っている。
その顔はあからさまな殺意を孕んでいるようにも見える。

「わ~骸クン、分っかりやす~い★」

「へぇ!今年の新入生は骨のある奴らがいるようだな。楽しみだぜ!」

潰すのがな、と気のせいであって欲しいトーンで言うディーノの目は本気だった。

教室中がぞお、と凍り付く中、骸の頬だけは人知れず淡く染まっていた。

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