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ドキッ☆男だらけのおホモ学園
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「骸くん」
騒々し過ぎる学園の放課後、いつも通りニコニコしながら綱吉が近付いてきて骸はどきりと鼓動を強くした。
「今日の親子面談、オレが担当するからよろしくね」
目を見開いた骸は思わず呟く。
「ディーノは」
「あ、ごめんね。オレじゃ頼りないかもしれないけど頑張るから」
どこか寂しそうにしながらも健気に笑った綱吉にまた鼓動が強くなる。そんなことはない。少し気恥ずかしくもあるがむしろ嬉しいのだ。
きちんと伝えなくては。骸は意を決して拳を握った。
「殴る…っ!」
「ごめん…!」
また今日も追いかけっこが始まった。
綱吉は骸に少しぼこっとされたけど、気を取り直して骸と骸の親御さんが待つ教室の前に立った。
よし、と気合いを入れて緊張を落ち着かせ教室に入った。
「失礼します」
どきどきしながら入ると、教室の中央に設えてある机に骸と骸の父親が座っていた。
「こんにちは。骸の父親のDスペードです」
「こ、こんにちは!副担任の沢田綱吉です」
「あなたがねぇ」
「はいオレです!」
緊張のせいで自分でもよく分からない受け答えをしながら席に着く。
親子だから当たり前だけど骸とデイモンは似ていた。房の辺りが特に。
「あの、さっそくですが」
ふよふよしている房に気を取られてしまった綱吉がはっと我にかえって話を切り出したとき、教室のうしろのドアが吹っ飛んだ。ガシャバリーンという音が響く。
「ぎゃああああああああああ」
綱吉は思わず叫んでしまうが、ドアを蹴開けた人物は何も聞こえていないかのように平然と入ってきた。
その男性は痩身にスーツを着込んでいて豪華な金髪をなびかせた。
「待たせたな」
「いやあのどちら様でしょうか…っ」
「ジョット。遅いですよ」
「まったく時間にルーズですね」
「2人ともお知り合いですか…!?」
綱吉に見覚えがない人物は、骸もデイモンも知っているようだった。ジョットは颯爽と歩き颯爽とデイモンの膝の上に座った。
「え!」綱吉がじわと頬を染めるとデイモンはにっこりと笑った。
「妻です」
「え…っ」
目を丸くする暇もなく骸が淡々と言った。
「母親です」
「えぇ…っ」
思わずジョットを見やると、ジョットはデイモンの膝に座ったまま足を組みキッパリと言った。
「男だがな」
「えぇえ…!?」
綱吉が素っ頓狂な声を上げたきり、沈黙が落ちた。
綱吉は一生懸命考えた。あれ?母親って男性がなるものだっけ?
「えっと…お父様は…男性…ですよね?」
もしかしたら父親が女性だったかもしれないと思ったけど何もかも確信がなくなっておずおず尋ねるとデイモンが笑った。綱吉はびくんと飛び上がった。
「ヌハハハハハ!父親は男性でしょう!面白いことを言う!」
「面白いのはお前の笑い声だよ!」
ジョットが無表情のままデイモンの頭を叩くとデイモンの前髪がぱふっとなびいて瞬時に真顔になった。
綱吉は堪らず吹き出しそうになったが骸を始め当事者のデイモンもジョットもしらっとしているので笑っていいものかまるで分からない。むしろここ笑う所?というような雰囲気を出しているので余計に笑えない。
ふるふるしながら耐えていると今度は教室の前のドアが吹っ飛んだ。ガシャバリーンという音が響く。
「ぎゃあああああああああああああ」
思わず叫ぶが、やっぱりドアを蹴開けた人物は綱吉の叫びをまるで無視して教室に入った。
「オレが担任のディーノだ。何か文句あるか」
ドアを蹴開けたのはディーノだった。
「特にありません!!!!」
綱吉は必死になってお答えしたが、ディーノは硝子片を革靴の底で踏みながら、ゆったりと教壇に登った。
「オレは今日は機嫌がいいんだ」
机の上の花瓶を指先でそっと押した。静かに倒れた花瓶から透明な水が床に零れた。ゆったりと黒板に寄りかかり綺麗に笑む。
「みんなまとめて抱いてやるぜ」
「…っ!」
声にならない悲鳴を上げて慌ててディーノを教室の外を連れ出した。
「何だよツナ」
「いえあの面談はオレに任せてください…っ」
「全てはオレの機嫌次第なんだよ」
「存じてます存じてますけどちょうどお茶の時間だし、ディーノさんは職員室でコーヒーでも…っ」
必死になって言うとディーノは少し間を開けた。無言の時間に恐怖を感じごくりと息を飲む。
ディーノが腕を持ち上げたので殴られるかと思わず首を竦めたが、予想外にも頭をわしゃわしゃと撫でられた。
「さすがオレの元生徒だな。気がきくぜ」
綱吉は心底ほっとしてちょっと泣きそうになった。
「ご褒美に後で鞭で打ってやるからな」
「オレにとってそれはご褒美じゃないのであの…っあのお…っ!」
心の叫びが聞こえたかは定かではないが、ディーノは機嫌良く鞭を振り回し通り掛かりの生徒を打ちながら職員室に向かって行った。
結局機嫌が良くても悪くても鞭は振り回すのだと改めて確かめ綱吉は顔を青ざめさせた。
そしてすぐにはっとした。骸はもう慣れているかもしれないが、両親はさぞかし驚いているだろう。
綱吉はすぐさま教室に飛び込み「すみませんでした…!」と勢い良く頭を下げた。
教室の中は静まり返り綱吉は申し訳ない気持ちでそっと頭を上げ、そして目を見開いた。ジョットとデイモンは何も気にしている様子はなかった。まったく何も気にしている様子はなかった。まるで綱吉のことさえ見えていないかのように前を向いていた。ちょっと泣きそうになった。そんな顔を骸にじりじりとした目で見られてまたちょっと泣きそうなった。
悲しい気持ちを抱えそっと席に着くと、ジョットがデイモンの耳を指先でこしょこしょしだした。こしょこしょした後ゆったりと唇を寄せて耳にふぅっと息を吹きかけた。その様のエロティクさに綱吉が無意識に頬を染めて何気なくデイモンを見やった。
「…っ」
デイモンの目の色が変わっていた。ジョットは華麗に足を組み直した。
「どうだ」
「いえあのどうだとおっしゃられても…っ!」
「デイモンはすぐに発情する」
「む、骸くんの前で何を」
「馬鹿ですねジョット。貴方だからですよ」
「可愛い奴め」
「いつも貴方にムラムラしてます」
「ちょあの…っ」
綱吉は顔を真っ赤にした。ジョットとデイモンがキスを始めたのだ。それだけならまだしも、いや結構問題だけどでも、2人は目を開けたままキスをして凄く見詰め合っている。超至近距離で超見詰め合っている。
(ど、どうしよう…っ)
無意識に骸を見ると骸は平然としていて綱吉はますますどうしていいか分からなくなった。視線を感じてはっとするとデイモンとジョットが綱吉を見ていてびくっとなった。
「して、何の用だ副担任」
「え…っあの骸くんは養子ですか?」
綱吉はとっさに出てしまった自分の言葉に顔を青くした。何が何だか分からない極限状態になってしまったからと言って、実は凄く気になっていたからと言って、今のは質問はデリカシーが無さ過ぎる。
「ごめん骸くん…っ」
「え?」
「え…っ!?」
申し訳ない気持ちでいっぱいで勢い良く頭を下げたが、骸がきょとんとしたので綱吉は驚いてしまった。
「案ずるな。骸はオレが腹を痛めて生んだ子だ」
「えぇ…っ!?」
ジョットは華麗に足を組み直した。
「男だがな」
「え、な…っえぇ…っ」
「骸は胎児の頃からやんちゃでな。よく腹越しに殴り合ったものだ」
「それ大丈夫なんですか…っ!?」
「胎児相手に大人気なかったですよね」
「骸くん覚えてるの…っ!?」
ジョットは野菜でも引っこ抜くようにおもむろに骸とデイモンの房を握った。
「似ているだろう」
まさに両手に房。
「あ、はい似てますでもあの房は房は」
房は止めてあげてと思う。いつか抜けてしまいそうで綱吉がハラハラしてしまう。例え骸とデイモンが房を握られても平然としていようとも。
「間違いなくオレの中にデイモンの遺伝子を持った精」
「それ以上は言わないでください…っ!」
慌てて止めるが慌てているのは綱吉だけで泣きそうになる。
「あの、えと、その…お父様とお母様のお子さん、ということで」
綱吉はとにかく自分を落ち着かせようと状況整理のために口にするとデイモンが笑った。綱吉はびくんとなった。
「ヌハハハハハ!私が細胞分裂をしたとでも思いましたか!」
「お前なら出来そうだな!」
ジョットが無表情のままデイモンの頭を叩くとデイモンの前髪がぱふっとなびいて瞬時に真顔になった。
綱吉はまた吹き出しそうになったけど、しらっとした空気のせいで笑うに笑えない。ふるふるしているとデイモンが顔を陰らせた。
「他の人間と交わったりしていたら体を引き裂いてやりますよ。縦にね」
「目が本気で怖い…っ」
「可愛い奴め」
「可愛いですか今の…っ」
オロオロしている綱吉をよそにデイモンがヌフっと笑った。
「男の子は母親に似た人を好きになると言いますが、性格はともかく外見は少し似ていますね」
「そうだな」
「へ…?」
デイモンとジョットが綱吉を微笑ましく見ているが綱吉はきょとんと瞬きをした。
突然骸ががたんと立ち上がったので驚いて見上げると瞳に殺気が滲んでいた。
「殴る…っ」
「何で…っ」
また追いかけっこが始まって校庭に飛び出して行った2人を見守る。
「まったくもって素直ではありませんね」
「昔のお前を見ているようだな」
「…」
「可愛い奴め」
ジョットは何も言えなくなったデイモンを撫でた。2人の視線の先では骸と綱吉が追いかけっこをしている。